私が女性向けゲームのシナリオライターになった時の話


今日は、約5年前に私が女性向けゲームのシナリオライターになった時の話を。
どうやって仕事をすることになったか、について話したいと思います。


最初に書いておくと、私は脚本家志望です。
今でも女性向けゲームに限らず、映像作品やラジオドラマ、朗読劇だって書きたいと思っています。
だからそのための勉強もするし、コンクールにも出すし、活動もします。
そのことが、女性向けコンテンツ業界を熱心に目指す方からするとかえって熱が足りないように見えたり、物足りなかったりするかもしれません。
それでも、ここにまとめていこうと思います。


長くなると思いますので、必要な部分だけさくっと読んでいただいて大丈夫です。
具体的に何をしたかは目次にある「情報収集」から「営業後」まで読んでいただけるとわかるかと思います。


どこかの誰かのひとつの体験話として、知りたいと切実に願う方に届けばいいなと、心を込めて。


<目次>

・はじめに
・情報がない
・決めたこと
・情報収集
・勉強とサンプル執筆
・営業(応募)する
・営業後
・現在
・振り返ってみて
・最後に


<はじめに>

どうしてこの仕事をしようと思ったかについては、とても個人的なものになってしまうので割愛しますが、そもそも前提として。

・30代
・北海道在住


私の場合、ここからのスタートでした。


そしてこの時点で、フリーランスになる以外の選択肢は頭にありませんでした。
(もちろん最初はバイト掛け持ちの覚悟で)
さらに言えばそのフリーランスでさえギリギリ残されていた道であって、もう崖っぷちくらいに思っていました。
ある意味視野が狭かったんです。

なので裏を返せば、もし私が「女性向けゲームのシナリオライターになりたい!」という想いを20代(大学在籍時でも卒業後でも)のうちに抱いて、さらに東京近郊に住んでいたならまず間違いなく企業への就職を目指しました。
(今はリモートも増えたのでまた状況が違いますが)
ライターとしての採用ではなく、プランナーやディレクターの募集しかなかったとしても変わらないと思います。
実際のところ約5年間フリーランスとして仕事をしてきて、私にプランナーやディレクターのスキルもあったらなあ、と思うこと多々です。

スキルがあるのはすごく強い。
それに生活の安定も、すごく大事。
人脈だってすごく大事。

だから私の場合は、前提が違えばいきなりフリーランスになる道は多分選ばなかったと思います。
それでもしこの道じゃないと思ったら、また違う道を選んだだろうなと。
仮にあとからフリーランスになったとしても、会社勤務の経験があるのとないのとでは実績が違いますしね。
回り道どころかプラスになることの方が圧倒的に多いんじゃないでしょうか。
実績も本当に大事です。

と、いっても結局私はフリーランス一択だったので、ここから先は「じゃあ実際どうやってフリーのシナリオライターになったのか」を書いていきます。

これまた前提ですが。

・女性向けゲームはほぼやったことがない
・小説等、物語の執筆経験なし(詩のようなものや短歌は一時期書いていましたが)
・読書は割と好き。でも好きなだけで数は読んでいない
・映画、アニメ好き。でも好きなだけで観ている数は多くない
・“シナリオ”という媒体そのものが大好き

私はこんな感じでした。
そしてすぐ壁にぶつかります。


<情報がない>

いろいろ検索してみたけど、女性向けゲームのシナリオライターのなり方、みたいな情報が全然ない。
そもそも業務委託の求人もない。
あっても経験者しか募集していない。
さらにどうやら“サンプル”の提出が必要らしいと知る。
で、サンプルってどうすれば…となる。
書き方もわからなければ、どれくらいの長さかもわからない。
あまり長すぎてもダメらしい…?
そこでライターさんのサンプルを検索してみる。
でも載せていない方が多いので、ほぼ見つからない。
(ゼロではないので見つかったものはとりあえず参考にメモる)
今度は関連書籍を探す。
数冊しかない。それでも読んでみる。
載っているのが長編の書き方で、選択肢とかもあって、知りたいことと微妙にずれててうーん、ってなる。
短いやつ(サンプル)はどう書けばいいんだろう…?って振り出しに戻る。
(でもテーマの設定や、きゅんポイントが書いてあるのでとりあえず参考にメモる)

情報がまったくないわけではないのですが、土俵に立った後に役に立ちそうな情報ばかりで、その土俵に立つための情報がないという印象でした。


そしてその結果、「結局何をどうすればいいのか全然わからん!(かなり不安)」という状況に陥りました。
ここまで数日の出来事だったと思います。


<決めたこと>

そもそも崖っぷちだと思っていた私は、悠長に時間を使ってなどいられないと、そこであることを決めました。

・来月末までにサンプルを完成させる(1ヶ月半くらいあったと思います)
・サンプルができたらその翌月に営業(応募)する
・ただし喉から手が出るほど商業実績が欲しくても、相場より明らかに安そうな求人には絶対に応募しない

期限については、自信があったわけではなくむしろわからないことだらけだったので、とにかくサンプルを書いてみて、それが全然通用しないようだったら書き直そうと思っていました。
(少なくともこのサンプルではダメなんだ、とわかるので結果的にその方が効率が良いだろうとその時は考えました)

相場より安い求人については、普通に見つかります。
しかも未経験OKで、商業実績が得られます(と、謳い文句があることが多いです)。
でもそれらは大抵相場の10分の1とかそれ以下の報酬で、且つ長編を書かないといけないことが多いように見受けられます。
当時私がなんとか辿り着いた情報によると相場は1KB(512文字)で1000〜1200円くらい、もっとざっくり言えば1文字2円でした。
もちろん企業によって前後するとは思いますが、それでも先ほど書いたような求人は相場よりも極端に安いことはわかりました。(言い方は悪いですが、「未経験OK」じゃなくてそもそも未経験者しか引っかからない条件なんです)
仮に商業実績が欲しい!とタダ働き同然のような仕事をしたとして、じゃあそのような仕事が本当に今後実績として機能するのだろうかと考えた時に、それもあまり期待できないなと思いました。
やればやるほど自分の首を絞めるだけの行為のように思えて、とにかく自分を安売りすることは止めようと決めました。
そしてそれは今でも正しかったと思います。
ただ、未経験OKの中にもちゃんとした求人があることも確かです。
そこはその企業の実績を調べたり、悪い話がないか検索してみたりすると、結構見極められるんじゃないかなと思います。


そして私は自分で設けたルールのもと、期限から逆算して以下のように行動しました。


<情報収集>

・女性向けゲームのシナリオライターさんのTwitterやHPの実績を見て、どの企業が個人と仕事をしているのか(外注の有無)を調べた

・その企業が出しているタイトルを調べた


<勉強とサンプル執筆>

・情報収集で知ったタイトルはもちろん、女性向けアプリゲームのシナリオをとにかく読んでみた
→この時は乙女ゲーム(恋愛もの)が多かったです


・その中で特に自分が気に入ったタイトルと、人気タイトルをさらにプレイしてみた
→自分に合わない、良さがわからないと思ったものは参考にできないのでやめました


・このシナリオいいなと思ったらとにかく書き写した(なんだ、参考になるお手本こんなにあるじゃん!と)
→ガチャシナリオやカードシナリオやイベントシナリオは短いものが多いので書き写しやすく、短編なりの話の構成みたいなものを勉強しました
→キャラ本編などの長編はチケット制のものでもいいのですが、一度買ったら何度でも読めるので買い切りのシナリオを買って勉強することが多かったです


・そのうち書き方や言い回しや狙いなんかがなんとなくわかるようになってきた
→ライターさんそれぞれの癖のようなものがあるとわかるかもしれませんが、そこはひとまず置いておいて
→例えば、「抱きしめる」や「キス」という行動ひとつとっても、こういう言い回しがあるのかとわかってきました


・いざ、見様見真似で書いてみた
→2000字くらいから15000字くらいまで、完結する話を3本ほどサンプルとして用意しました


<営業(応募)する>

実際にプレイしてみてシナリオを書きたいと思ったゲームを運営している企業に営業しました。
ここはもう完全に感覚で決めました。
ただ先に書いたように、見様見真似で書いたサンプルに対して、果たしてこれでいいのだろうかという思いはずっとあったので最初の営業先は少なめにしました。(もしダメだった場合、同じ企業にすぐ再応募するわけにもいかないので)


決めた企業には、そこが経験者しか募集していなくても、未経験者であることを明記した上でダメ元で応募しました。
そもそも求人がなくても、ダメ元で問い合わせしました。


<営業後>

結果的に完全スルーされたのは1割程度だったと思います。
経験者しか募集していなかった企業もサンプルを読んで対応してくださいました。

その時思ったことは「未経験者でもちゃんと相手をしてくれる企業さんが多くてめちゃくちゃありがたい」でした。

そしてそれがきっかけで、トライアル(〇〇というテーマで〇〇字のシナリオを書いてくださいというテストみたいなもの)のお話をいただいて、それに合格してお仕事をいただけるようになりました。
最初に書いたシナリオが配信されたのが、情報収集を始めてから約4ヶ月後のことだったと思います。
(シナリオだけで食べていけるようになったのはもっと後のことです)


<現在>

それから現在に至るまで、ずっと同じような流れです。

・サンプル提出→トライアル→合格→(面談があったりなかったり)→契約


自分から営業することもありますし、実績を見て先方からトライアル受けませんかというお話をいただくこともあります(その場合もサンプルを送ってくださいと言われることが多いです)。

と、長々と書いてしまいましたが、以上が私がこの仕事を始めるまでの大体の流れです。


<振り返ってみて>

・シナリオ書き写しはとても勉強になる(今でもやります)
・ゲームによって地の文(セリフ以外の部分)があるシナリオと、全くない会話だけのシナリオがあって、その企業にあわせたサンプルを用意できれば尚よかったかもしれない
→サンプル文字数の指定がない場合、現在の私のサンプルは1000〜2000字の3本です(地の文もりもり、地の文あっさり、地の文なし各1)
・完璧なサンプルは書けなくて当たり前
→最善を尽くしたとしても最初は多分無理です。でも経験を積むことで絶対成長します
・営業(応募)しなきゃ始まらない
・とにかく行動する、他の誰でもなく自分のために


<最後に>

約5年前、情報のなさに私自身が途方に暮れたことから、経験値が少し増えたらいつかまとめようとずっと思っていたことをようやく書けました。
ただここに書いたのはあくまで私の体験であって、前提からして全く参考にならないかもしれません。(むしろならないと思います)
しかも結果論でしかなく、すでに過去の情報です。
実際今こうして書いていても、肌感覚的にやはり古いなと感じます。
なのでこの記事もいつか消すかもしれません。

最近は本も増えているし、ネットでも情報が手に入りやすくなったのではないかと思います。
今は今の方法があるし、人には人それぞれの方法があります。
だから自分に合った方法を見つけて進んでください。

それでも、これから女性向けゲームのシナリオライターになりたいという方がこの記事に辿り着いて、少しでも得るものがあったのならばこんなに嬉しいことはありません。

“がんばれ”という言葉がネガティブなものとされるのは知っていますが、私はそれほど嫌いじゃないんです。
だから、是非がんばってください。
目指したいものがあるって、とても素敵なことだと思います。

ちなみに。
私の昔のサンプルは下手すぎて恥ずかしすぎて今では読めません笑
(最近更新していないので、多分今あるものももう読めなくなってると思います)

なので当時丁寧に対応してくださった企業や、ましてトライアルの話や仕事をくださった企業には感謝しかありません。

そして今、私がこうして仕事をしていられるのは、私ひとりの力ではまったくなく。
クライアント様、いつも導いてくれる担当さんには本当に感謝しています。

私にとってシナリオはいつだって難しく、未だ勉強することだらけです。
未熟だな、と本当にそう思います。
そしてきっと、終わりなんてないのだと思います。
それでも。
苦しくても楽しくて、きっと自分が思っているよりも好きなんです。
納期を守ること、連絡をとること、丁寧な仕事をすること。
最低限守らなければいけないことをきちんと大切にしながら、これからも書き続けていきたいと思います。

最後に、ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。